2020年2月12日(水)東京・新宿ピカデリーにて、ロングランヒット中のアニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の全国拡大公開を記念して、本作でテル役を演じた声優の花澤香菜と監督の片渕須直がプレミアムトークショーを行った。
すずが遊郭で出会う女性“テル”の声を務める花澤は「素敵な作品に関われる人たちはいいなぁとオリジナル版は観ていたので、そこに新キャラとしてお声がかかるとは思わず、ビックリしました」と今作での大抜擢に嬉しそう。実は片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』のオーディションも受けていたそうで、片渕監督は「その時はごめんなさい…でしたけど」と恐縮も、花澤は「こうして巡り巡って…嬉しいです」とシミジミしていた。
そもそも花澤に白羽の矢が立ったのは、花澤が出演したラジオ番組「アフター6ジャンクション(TBSラジオ)」を片渕監督が偶然聴いていたことから。「その時に素で話す花澤さんの雰囲気がテルちゃんのイメージに近かった。素の感じが、まさに『テルちゃんがいらっしゃる』だった」と抜擢理由を説明。ただテルは病に伏せる設定だけに「九州弁でかつ、風邪をひいて喉が枯れ咳が出っぱなし。それを表しながらきちんと芝居をしてくれることが大事だと思ったので、これは並大抵のことではないぞと思った」と不安もあったという。花澤は収録時に片渕監督から「もっと死にそうになってくれ!」との演出があったことを明かし、「そんなディレクションは初めてで、どうしようかと思った」と思い出し笑い。しかし収録を重ねる中で片渕監督は「いたいけないテルちゃんが存在しているのが見えたときに、僕はのんちゃんに『すずさんはどうするの?』と言うことができた」と花澤の演技に納得の表情だった。
また、のんとの共演に花澤は「初めての参加で緊張しましたが、収録現場でののんさんは、まるでそのまますずさんが隣にいるような感じで。すんなりと作品の世界に入り込めたのは、のんさんのお陰です」と感謝しきり。これに片渕監督も「二人のアンサンブルはとても良かった」と相性の良さを称えていた。
同作の舞台挨拶にこの日初めて参加した花澤は「テルちゃんとして作品に関われてとても光栄。また舞台挨拶の機会があれば呼んでください」と再登壇を期待し「別作品で昨年の東京国際映画祭のレッドカーペットに参加したら、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のファンの方も沢山詰めかけていて、『テルちゃん!』と呼ばれたときには、深く愛されている作品だなぁと実感。この作品がもっともっと広がっていくことを願っています」とさらなるヒットを祈願した。片渕監督は「新しいキャラクターとして大事な役割を演じてもらい、花澤さんは今では仲間内という感じです」と信頼を口にし「すずさんたちが本当に存在しているように描けたのは、花澤さんをはじめ沢山の人の力のお陰です。それをこれからも大きなスクリーンの中で味わってもらいたいです」と客席に呼びかけていた。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、1/31(金)から東京・新宿ピカデリーを始め、全国67館が拡大公開された。片渕監督は、2/13(木)川越スカラ座(埼玉)、2/23(日)福知山シネマ(京都)、2/24(月・祝)出町座(京都)&塚口サンサン劇場(兵庫)にて舞台挨拶行脚を敢行。日本各地の観客へ感謝の思いを伝え続けている。さらに広がりを見せる『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』に期待したい。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
声の出演:
- のん
- 細谷佳正
- 稲葉菜月
- 尾身美詞
- 小野大輔
- 潘めぐみ
- 岩井七世
- 牛山茂
- 新谷真弓
- 花澤香菜
- 澁谷天外(特別出演)
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
音楽:コトリンゴ
監督・脚本:片渕須直
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
製作:2019「この世界の片隅に」製作委員会
後援:呉市・広島市/日本赤十字社
(C)2019こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
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