松本穂香、仲万美、篠原悠伸が映画上映企画「シネマ・スプリット」に登壇!

2組のアーティストの楽曲を収録したスプリット盤のように、映画監督の新たな側面を見せるショーケースとして誕生した上映企画「シネマ・スプリット」の第1弾が1月16日(月)、渋谷シネクイントにて開催され、二宮健監督作品『Sleepless』と小林達夫監督作品『米国音楽』の先行上映がおこなわれた。『Sleepless』からは二宮健監督、松本穂香、仲万美、『米国音楽』からは、小林達夫監督、篠原悠伸が登壇。

「シネマ・スプリット」第1弾『Sleepless』、『米国音楽』

まずシネマ・スプリットの企画者である小林達夫監督が趣旨「2つの作品を並列で上映することで、相互に映画の魅力が膨らんでいく体験をしてほしい」と説明。早速『米国音楽』の篠原悠伸が登壇しトークがスタート。二宮健監督が小林達夫監督のフィルモグラフィを解説「2015年の『合葬』以来8年ぶりの劇場公開となる『米国音楽』。小林監督はその期間に多数の短編を撮り、それは音楽と音楽メディアの関係性を踏まえた作品が多い。「今回はCDが主題となるがその狙いは?」と問うと、小林監督は「アナログレコードの再評価を経て、じゃあCDはこのまま廃れてしまうのか?と考えた時に、自分自身はCD世代で思い入れもあると同時に、CDがもたらした音楽業界への影響、マーケットとしての飛躍的な成長や、歴史への貢献を改めて感じました」と答える。

篠原悠伸が演じるのは、音楽をクリエイトするには欠かせない存在であるレコーディングエンジニア。2021年末に二宮健監督が主催する上映イベントSHINPAに出演した際にオファーがあったとのこと。エンジニアということもあり当初はセリフも多くない役柄だと思っていたようだが、実際には膨大なセリフ量で心配になったと明かした。音楽活動をしている篠原は「作品やキャラクターに親近感を感じ」、「そういった経験があったからこそ、音楽制作をしている人特有の身体性で演技を組み立てることができたのはないか」と二宮健監督が補足した。

篠原悠伸『米国音楽』

小林監督は最後に「音楽と音楽メディアの物語は、映画の題材としてはマニアックに受け取られそうですが、観客の皆様それぞれがはじめて音楽メディアに触れた時の喜び、面白さの記憶を思い出しながら見てもらえたら嬉しいです」と締めた。


続いて『Sleepless』の松本穂香、仲万美が登壇。小林監督から「『Sleepless』は一言では形容しがたい作品、映像詩的な側面も、キャストのパーソナルな部分に触れる側面もあり、撮影前には完成形が想像しにくい映画だったと思いますが、二宮監督からオファーがあった時にはどう感じましたか?」という質問が投げ掛けられ、松本は二宮監督から事前に参考となる作品(テレンス・マリック監督作品)を渡されていて、それを見たことでイメージを掴めたと語った。仲は、「私には参考作品は渡されていないです(笑)。撮影現場について作品の概要を初めて知りました(笑)」と返した。

このキャストでこの作品を撮りたいと思った決め手を聞かれた二宮監督は、「元々睡眠をテーマにした映像詩を撮りたくて、桜井ユキさんとは睡眠に関する話をしていたのを思い出して、まず桜井さんに決めました。漠然と3人の物語にはしたくて、松本さんとは『MATSUMOTO TRIBE』以来の仲で、様々な場所で一緒でしたが、実際に何を考えているのかをちゃんと聞いたことがなくてお声掛けしました。3人目はスコーンと突き抜ける人が良くて、仲さんが浮かび、この3人がまじると何か面白い化学反応が起きるのでは?と思っていました。けど、自分自身でも着地点は見えていませんでした」と語った。

二宮健監督

撮影現場での二宮監督を問われると、仲は演技を始めたきっかけが『チワワちゃん』で、二宮監督の撮影現場はラフで楽しくて、監督としても人間としても一緒にいて心地が良いと答えた。松本は「すごく寄り添ってくれる方というのを改めて感じ、『Sleepless』では引き出されちゃった感じなので、見た方がどう感じるのかドキドキしている」と語った。

松本穂香『Sleepless』


松本穂香、仲万美、桜井ユキのそれぞれが異なる性質で、それぞれに対してどのような印象なのかを言葉にした二宮監督の話を受けて、小林監督は「キャストのパーソナリティが映画のテーマを変容させていくような力強さと面白さがある作品」と返し、松本と仲は同じ人間なのにここまで違うことの面白さを語った。非常に挑戦的な作品で、二宮監督とキャストの信頼関係によって成立した作品であることを改めて実感するトークとなった。


本作は渋谷シネクイントにて2023年2月10日(金)より1週間限定で公開される。

松本穂香『Sleepless』



『Sleepless/米国音楽』予告




『Sleepless』

出演:桜井ユキ 松本穂香 仲万美 柳沢正史

監督:二宮健 

二宮健が長年構想してきた『睡眠』をテーマにした映像詩。女優、パフォーマーである桜井ユキ、松本穂香、仲万美の「表現すること」をめぐるパーソナルなインタビューと、昨年、生命科学ブレイクスルー賞を受賞した睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授による「睡眠の謎」に迫るレクチャーが織りなすアーティスティックな世界。言葉、映像、音響の目眩くテクスチャーが、新しい手触りの映画体験を演出する。上映イベント『SHINPA vol.13』で初上映され、大きな反響を呼んだ本作が、待望の劇場公開。



『米国音楽』

出演:篠原悠伸 山口まゆ 伊島空 嶺豪一 大社カリン 蒼葉える おかやまはじめ 斉藤陽一郎/大柴裕介

監督・脚本:小林達夫

2001年に1枚のアルバムをリリースして解散した日本人バンド『Thursday』。20年の時を経て、ネットの音楽掲示板で話題となった彼らの音源は、アメリカのレーベルから再発されることとなった。関係者たちのインタビューによって明かされるメンバーたちのアメリカ音楽シーンへの憧憬と、挫折の記憶。そこに音源制作の裏で起こっていた、男女の出会いの物語が重なって……。

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