鬼才・城定秀夫監督最新作、主演に深川麻衣、共演に若葉竜也を迎えた日本発・ヴィレッジ《狂宴》スリラー映画『嗤う蟲』の完成披露試写会が1月16日(木)新宿バルト9で開催され、出演者の深川麻衣、若葉竜也、田口トモロヲ、杉田かおる、監督の城定秀夫が登壇した。
本作は、スローライフを求めて都会から田舎に移住してきた若い夫婦の杏奈(深川麻衣)と輝道(若葉竜也)が、とある秘密を抱えた村人たちに翻弄されながら、背いたものには常軌を逸した制裁が待つ「村八分」の恐怖にのめりこんでいくという、現代日本の闇に隠されている”村社会”の実態を暴くヴィレッジ《狂宴》スリラー。
出来上がった作品を観た感想は?
深川:ホラーではないので驚かすような怖さではなくて、この人笑顔の裏で何を考えてるんだろう?とか、この後何が起こるんだろうというジワジワした怖さをエンタメとして楽しめる作品になっていると思います。いつも出演作では自分の粗探しをして冷静に見れないのですが、『嗤う蟲』は純粋に楽しむことができました。
若葉:ほぼワンシーン1カットみたいな感じの撮影が多かったので、見た時に自分がこんな感じで進んでいくと思っていたリズムと、試写したときのリズムが全然違って、そこが面白かったですね。
この作品はジャンルレスと語っていましたよね?
城定監督:そうですね。怖さみたいなジャンルを強調していく意識はあったんですけど、どちらかとと、家族とか村のコミュニティでの夫婦のあり方とか、割とそういうところを表現して結果いろんなものが混ざり合ってこれは何と言ったらいいのかわからない面白さだなと。これ宣伝部は困るんじゃないかなという思いはありました(笑)
お気に入りのシーンはありますか?
深川:映画後半の田口トモロヲさん演じる自治会長の田久保千豊さんが絶対絶命な瞬間があって、その時の杉田かおるさん演じる田久保よしこさんの行動が、本人たちが必死であるからこそ見ている側からすると面白いというかすごい緊迫感があって。ドキドキのシーンなんだけど、ちょっとクスッとできるシーンですごく好きです。同じ状況になったら田舎は大好きなんですけど、かなり恐ろしいですね(笑)
若葉:この映画の同調圧力というか、ハッキリと言葉にはしないけど、ニヤニヤ笑いながら圧をかけてきたりとか、いろんなルールを明言しないまま雁字搦めにしていくっていう気味の悪さがあって、この業界も同じような空気があるんだけど、その気味の悪さが何かと似てると思ったら、自分のいる世界の気味の悪さかと感じました。
撮影中に印象に残った出来事はありますか?
深川:城定監督と初めての仕事だったのですが、演出中に1回も目を合わせてくれなくて、嫌われてるのかと思って、若葉さんに話したら「俺も合ってない」って。本当にシャイな方なんだと思いました。そんな城定監督なんですけど、山奥での撮影で壁に手のひらぐらいの大きな蜘蛛が張り付いていて、監督を呼んだんですが、走って見に来て「本当だ!大きいですね!」って言った笑顔が撮影中見た中で一番の笑顔でした。
若葉:宿泊先に幽霊みたいながいて、僕はちょっと耐えられなくて自腹で部屋を借りて後半は違う宿泊先で過ごしていました。柄シャツのオジサンが化粧台の鏡を見ながら座っていて(笑)。撮影がもう残り2、3日とかだったんですよ。周りに言うと変に怖くなっちゃうかなと思って誰にも言わなかったです。宿泊先の名前を検索したら一発目に心霊って出てきて。由緒正しい心霊ホテルなんだと。
麻宮村の見えない掟にちなんで、今年自分に課す掟は?
深川:私は宅配デリバリーはほどほどにですかね?自炊もするんですが、便利なので疲れて仕事から帰ってきて、1回頼んじゃうとクセになって。何回か続いたりするので今年は頻度を減らすことを目標にしています。
若葉:今年というより、ずっと続けていることがあって、毎日トイレ掃除を朝起きてからして、現場に行くことを日課にしています。トイレが一番その人の人間性が出ると聞いたことがあって、見えない場所なんで綺麗にしています。
最後にメッセージを
城定監督:いろいろな見方ができる映画だと思いますんで、このジャンルとしては珍しく夫婦のあり方みたいなものにフォーカスされている映画になったかなと思います。
深川:撮影に入る前に城定監督から夫婦2人を100%の善人には見せたくないっていう話があって、それがすごく印象的で、映画の中では夫婦 vs. 村人っていう構図にはなるんですが、どっちかが白でどっちが黒ってより、見方によってはどちらにも同情できる余地があるって言うところが、この映画の好きなところで、ジワジワ迫りくる不穏な空気を楽しんでいただけたらすごく嬉しいです。
映画『嗤う蟲』
出演:深川麻衣 若葉竜也 松浦祐也 片岡礼子 中山功太 / 杉田かおる 田口トモロヲ
監督:城定秀夫
脚本:内藤瑛亮 城定秀夫
音楽:ゲイリー芦屋
製作幹事:ポニーキャニオン
配給:ショウゲート
製作プロダクション:ダブ
©2024 映画「嗤う蟲」製作委員会
1月24日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー