淺雄望監督「この日を目指して生きてきた」映画『ミューズは溺れない』初日舞台挨拶

第22回TAMA NEW WAVE、第15回田辺・弁慶映画祭の二つの映画祭でグランプリを含む6冠を達成した映画『ミューズは溺れない』の初日舞台挨拶が9月30日（金）テアトル新宿で開催され、出演者の上原実矩、若杉凩、川瀬陽太、新海ひろ子、渚まな美・桐島コルグ、監督を務めた淺雄望が登壇。司会は映画活動家の松崎まことが担当した。

美術部に所属する高校生の木崎朔子（上原実矩）は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した美術部員の西原光（若杉凩）が「溺れる朔子」の絵を描いてコンクールで受賞、絵は学校に飾られるハメに。悔しさから絵の道を諦めた朔子は、代わりに新たな創作に挑戦しようとするが、ある日、西原から「次回作のモデル」を頼まれてしまい・・・。

監督の淺雄望は映画公開初日を迎え「この日を目指して生きてきたので・・・」と涙をこらえ喜びを語る。本作のキャスティングについては「私は人見知りなので、インターネットで皆さんのプロフィールを確認し、出演作品をチェックして『この人に逢いたい』の一点突破で選びました」と告白。「上原さんはプロフィール写真の目力が強くて心が奪われました。直接逢いに行き絵を描くシーンをしてもらったのですが、不機嫌に椅子を運んできて脚を組んだお芝居が魅力的で。私の知らない朔子をしたので」とオファーの裏話を語った。

本作の撮影について上原は「12日間撮影だったのですが、3年前だったので（当時は忙しく）あまり覚えてなくて・・・」と振り返り「海に飛び込むシーンは覚えていて、あのシーンは楽しく撮影できました。一発撮りの緊張感はありましたけど」と語る。淺雄監督については「監督が本作の脚本を10年くらい温めていたと聞いていたので、撮影中も随所に監督のピース（断片、部分）が散りばめられていました」と強い意志を感じたそう。

本作の役作りについて若杉は「他の作品では若杉に肉付けして役作りをすることが多いのですが、今回は西原というキャラクターを自分の中で構築して演じました」と苦労を語る。ジェンダーやセクシャリティに問題を抱えた役のオファーが多く、断ることもあったという若杉は「（西原は）やってみてもいいかなって3年前の自分が感じた。一緒に作りあげていこうと」当時の想いを語った。映画『ミューズは溺れない』は9月30日（金）～10月6日（木）テアトル新宿、10月14日（金）15日（土）シネ・リーブル梅田ほか全国で順次公開される。