中江有里が26年ぶりに主演を務めた映画『道草キッチン』の公開初日舞台挨拶が11/22(土)に新宿K’s cinemaで開催され、出演者の中江有里、金井浩人、村上穂乃佳、荒木知佳、監督の白羽弥仁が登壇した。

女優・中江有里が26年ぶりに映画主演を務めた本作は、徳島に移住した50歳の独身女性が、さまざまな事情を抱える地元の人々、日本で懸命に生きるベトナム人たち、自然豊かな食材で作られるベトナム料理との出会いを通して、自身の生き方を見つめ直していく姿を描く愛と記憶の物語。
主人公・桂木立を演じた中江有里は、久々の主演オファーに「何かの間違いだと思った」と笑顔を見せる。しかし脚本を読み、白羽監督の“50代女性を主人公にする”という明確な意図を知ると、心が動いたという。続けて「俳優の仕事は年齢で役が限定されることも多いんですが、このタイミングでこの役をいただけたのは幸運だと思い引き受けました。26年前の自分に教えてあげたい気持ちですし、約束のないサプライズって、こんなに嬉しいものなんだと感じました」としみじみと語った。そんな中江について白羽監督は「打ち合わせのときから価値観がズレることがなかった」と信頼の厚さを口にし、「選んだことは間違いなかった」と語った。

話題のドラマ『SHOGUN 将軍』の続編に引き続き出演する金井浩人は、本作で本格的な阿波踊りを披露。経験ゼロからの挑戦に「ダンス経験もなく、本当に不安でした。でも役にとってすごく大事なポイントなので、都内の徳島出身の友人に教わったり、現地では市役所職員の方に丁寧に指導いただきました」と振り返り、撮休の日には「ホテル近くの広い駐車場で夜な夜な練習に励みました」と苦労話を披露した。

森本真麻役を演じた村上穂乃佳は映画の舞台となった徳島の隣、愛媛県の出身。徳島・吉野川市や板野町の風景に「山々に囲まれていると安心する」と感じたそう。さらに「景色が好きすぎて、空き時間はずっと外にいました。散歩したり観光したり、徳島ラーメンも食べましたし、陶芸にも挑戦しました。自然からパワーをもらっていました」と撮影当時を振り返った。

そんな村上穂乃佳演じる森本真麻の姉、バツイチで妹にグイグイ絡む森本朋美を演じた荒木知佳は、役作りのきっかけが「監督のサングラス」だったと明かす。普段から日差しに弱くサングラスをかけることもあるが「衣装合わせで監督のサングラスをかけたら“これだ!”」となったそう。

本作では、ベトナムが重要なキーワードとなり、ベトナム料理がたくさん登場する。主演の中江は「料理を作るだけで食べてません」と悲しい表情を見せる。一方、金井は過去に海外で撮影していた際に近くのベトナム料理屋に通っていた経験があり、今回撮影中に食べられたことを「嬉しかった」と語る。荒木は「レンコンのバインミーが本当にシャキシャキで美味しかった」と絶賛。村上は、「めっちゃ食べました」と笑顔で語り、みんなでテーブルを囲むシーンで、ベトナム料理を作って食べたことを明かした。
本作はベトナムのダナン・アジア映画祭に招待されワールドプレミア上映が行われた。現地ではベトナム料理やベトナムという言葉に観客が引きつけられている様子を感じ、白羽監督は、「日本で暮らすベトナム人を映画で扱ってくれてありがとう、と現地の方に感謝された」と語り、中江も「反応が全く想像できなかったが、とても興味を持ってもらえた」と振り返った。初めてベトナムを訪れた村上も「ベトナム料理が美味しくて、毎日食べていたら、ちょっと太ったかも(笑)。でも映画祭で現地の人と映画で繋がれたことにすごく感動しましたし、また行きたいなって思う国でした」と絶賛した。
イベントの最後には、中江に「道草とは何か」という質問が投げかけられ「本を読んだり、映画を見たり、音楽を聴いたり、生活に直結をしないこと」と定義し「しなくても生きていけるけど、道草する方がずっと楽しい」ものだとして、映画館に集まった観客に「大いに道草していただけて、とても嬉しく思います」と感謝し、舞台挨拶を締めくくった。
映画『道草キッチン』

出演:中江有里 金井浩人 村上穂乃佳 今陽子 荒木知佳 ほか
監督:白羽弥仁
脚本:白羽弥仁 知愛
エンディング曲:「月の光」作曲:クロード・ドビュッシー
配給:キョウタス
©2025映画『道草キッチン』製作委員会
全国公開中
