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染谷将太「もはや映画としての倫理観も問われる」映画『廃用身』公開記念舞台挨拶

映画『廃用身』の公開記念舞台挨拶が5月16日(土)TOHOシネマズ日比谷にて行われ、主演を務める染谷将太をはじめ、北村有起哉、六平直政、中井友望、原作者の久坂部羊、吉田光希監督が登壇した。

映画『廃用身』公開記念舞台挨拶

公開前から大きな話題になっている本作。染谷たちキャスト陣は、劇中で印象的なアイテムとして存在感を示している“流木”を一人ずつ持って登場。染谷は上映前ということで「劇中のとあるシーンで、とある形で出てくる流木なんです。でも皆さんまだ映画を観る前ですもんね。『何のこっちゃ』と思うかもしれませんが……」と期待を煽る。


「実写化不可能」と謳われる作品は多いが「本当に実写化できるのだろうか」という声が多数上がっていた映画が無事昨日公開を迎えた。染谷は「作品が公開されて皆様に見てもらえるというのがすごく嬉しい反面、共にすごく緊張する、そんな映画です」と、これまでの作品とは趣が違うことを強調すると「いつも作品が公開されるとき、嬉しさと旅立っていく寂しさがあるのですが『廃用身』は何とも言葉にできないドキドキがあります。賛否両論が巻き起こりそうな……カラフルな感想が飛び交っていただけたら嬉しく思います」と語っていた。

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吉田監督が原作と出会ったのは、自身がまだ大学生のとき、20年以上前だったという。「当時大学生のころに原作を読んで、この作品をいつか映画にできたらなと思っていました。でも当時は本当にただの夢物語でした」と語り出すと、言葉に詰まり涙を流す。そんな吉田監督の肩を優しくさする北村。すると吉田監督はさらに号泣してしまうが「すみません」と顔を上げると「本当に気持ちが込み上げてきて。こんなにたくさんの方に見守っていただけて、お披露目できるのは本当に嬉しく思っています」と感情を爆発させる。

吉田光希監督
吉田光希監督の肩を優しくさする北村

それだけ吉田監督の思いが詰まった作品。原作者の久坂部は「横で監督にこんなにも感極まっていただいて」と吉田監督に温かいまなざしを向けると「書き手にとっては最高の読者です。こちらも感動しています。私の小説は映画化のオファーはいくつかあって、監督が決まったり脚本ができたりしたこともあったんですけど、全部途中で潰れていくんですね。で、『廃用身』も映画化の話をいただいた時に、一番映像化しにくい作品と思っていたので『多分潰れるだろう』と思っていたんです」と正直な胸の内を明かすと「でも監督とプロデューサーが丁寧に取り組んでいただき『ひょっとしたら本気なのか』と思ったんです」と当時を振り返っていた。

久坂部羊
主演の染谷将太
主演の染谷将太

染谷は、自身の演じる漆原という医師について「漆原先生って本当に見る方によって感想が違う役。だからこそ、すごく大事にしていたことがある」と明かすが「先入観を持ってしまわれると良くないので、それは明かさないですが、自分でもすごく勇気がいる役。僕らはお芝居をするのが仕事なのですが、本当にこの撮影期間中は、ひたすらAケア(※注:高齢者の廃用身を切断するケア法)を広めようとしていた時間だったっていう、すごく不思議な時間でした。もう本当に一生懸命Aケアを広めようとしていた日々だったなって、今思い返すと感じます」と真摯に語っていた。

北村有起哉

Aケアに興味を持つ編集者の矢倉を演じた北村は「役として、漆原先生の画期的な医療、哲学と言うと大げさかもしれませんけど、そこに少なからず共鳴したところがありまして」と役柄を位置づけると「実際にこの映画を皆さんがご覧になってどう思われますか、っていうところとまさに重なる部分がある役。本当に賛否分かれるような映画だと思いますが、とにかく皆さんにフラットな状態で観ていただいて、それを見て何を感じてもらえたら」とメッセージを伝えていた。

六平直政

第1症例者として治療を受ける高齢者・岩上を演じた六平は、上映前の舞台挨拶のため「ネタバレになっちゃうから言わない(笑)」と役柄の詳細には触れなかったが「全シーン大変だった。それはお客さんが観れば一目瞭然です」と断言していた。

中井友望
中井友望

看護師の内野を演じた中井は、司会者から「憧れの染谷さんとの念願の共演でしたね」と振られると「こんなところでバラされると思っていませんでした。ご本人にもお伝えしていなかったのに……」と目を丸くすると「撮影しているときは感じなかったんですけれど、撮影が終わって寝る前とかに『あ、今日染谷さんと一緒にお芝居していたんだ』って思い返したりして、しみじみと感動していました」と感想を述べる。そんな中井の発言に染谷は「もう恐縮です」と照れ笑いを浮かべていた。

染谷将太
染谷将太

またこの日は「衝撃作」と呼ばれる本作にちなみ「最近衝撃を受けたこと」についてトークが展開。染谷は「本当にどうでもいいんですけど……」と前置きすると「このところずっと何ヶ月も地方に撮影に行っていたんですね。最近も大阪にいたんですけれど、気づいたら3キロぐらい太っていましたね」と発言し「焼肉とか。どこのお店に行ってもハズレがない。ちょっと食べすぎましたね。気づいたら焼肉屋にいる(笑)。久々に家帰って体重計に乗ったら『え!』ってなって。これから減らしていきます」と宣言していた。

北村有起哉
北村有起哉

同じ質問に北村も「しょうがないことなのですが」とつぶやくと「妻に頼まれてスーパーへ買い物に行きました。絹豆腐を木綿豆腐に間違えたり、無調整豆乳なのに調整豆乳を買ってきたり。あと、ハンドソープのリキッドタイプだと言われてるのに泡タイプを買ってきたり。どうしてもちょっと間違えてしまうんです。最近それをまとめて指摘されて……。自分が情けなくて衝撃を受けました」と苦笑い。


中井は「今26歳になるんですけど、階段とかを登るだけで筋肉痛になってしまうんです。年齢的にちょっと早いかなと衝撃を受けました」と語ると、久坂部は「今準備している次の小説がほぼ出来上がって、一番信頼している編集者に見てもらったら『これ売れるかな』って言われたのが一番の衝撃でした」と発言し会場を笑わせる。

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そんななか吉田監督は「僕はこの質問の答えを準備してきたのですが、何よりも最初の自分の挨拶に衝撃を受けました。自分の映画にこんなにたくさんの方が観に来てくださったというのを目の当たりにして……」と述べていた。


トリを飾る六平は「何と言ってもこの映画に衝撃を受けますよ。みんな僕を観たら泣いちゃうと思う」と語ると「とにかく装具を作ってくれた美術さんがすごい。CGを使っていないんです。本当に衝撃です」とスタッフを称賛していた。

最後に染谷は「本当に自分は見たこともないような映画だなと思いました。たくさんの倫理観も問われますし、医療もそうですし、介護もそうですし、人としてもそうですし。もはや映画としての倫理観も問われます。たくさん思うことがある映画だと思います。その思うことがあったら是非口に出していっていただいて、この衝撃を少しでも多くの方に広めていただけたら嬉しいです」と作品に込めた思いを述べる。


吉田監督も「気持ちよく見れない部分もたくさんあると思うのですが、これを作れて良かったと心から思える映画になりました。観終わったとき、この映画好きだった、嫌いだった、そんな気持ちも全部この映画の一部になっていくと思っています。皆さんが何か議論を交わせるような映画を作りたいなと思っていました。ぜひ最後までご覧になってください」と会場に呼びかけていた。

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映画『廃用身』

原作:久坂部羊『廃用身』(幻冬舎文庫)

監督・脚本:吉田光希

出演:染谷将太 / 北村有起哉 瀧内公美 / 廣末哲万 中村映里子 中井友望 吉岡睦雄 / 六平直政

音楽:世武裕子

配給:アークエンタテインメント

©2025 N.R.E.

5月15日(金)より TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中

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