直木賞・本屋大賞受賞作家・辻村深月の感動ヒューマンミステリーを河瀬直美監督が実力派キャストを揃えて映画化した映画『朝が来る』の初日舞台挨拶がTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、出演者の永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、監督を務めた河瀬直美が登壇した。
本作は、辻村深月の同名小説を原作に、実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てることができなかった14歳の少女を繋ぐ「特別養子縁組」によって、新たに芽生える家族の美しい絆と胸を揺さぶる葛藤を描く感動のヒューマンドラマ。監督の河瀬は撮影前に、登場人物が実際に経験したであろうことを出演者にも実体験で経験してもらう“役積み”を大切にすることで知られている。この日、司会を務めた笠井信輔アナウンサーが、この河瀬監督の“役積み”について主演を務めた永作に聞くと「監督は流行語大賞狙っている」と話し、河瀬は「スクリーンの中で演じているのが映画だとすると、河瀬組はそこで生きている」と説明。本作でも、撮影の2週間ほど前から永作や井浦たちは一緒に生活したという。
普段なら美術スタッフが現場に揃える赤ん坊グッズを自分たちで選んで東京から撮影地の広島に持参した永作に対して、河瀬監督が「そら当たり前やな」とニッコリ。永作と井浦はショッピングモールや生地屋などをまわって監督指定の黄色いベビー用品を探し回ったというが、カメラもまわっていなく、そこにスタッフや監督などがついてくることもなく、永作は「一般の方に写真を撮られたらと思って、ドキドキした」と心情を語った。
実の子を育てることができなかった少女・片倉ひかり役を演じた蒔田は「奈良県にある河瀬監督の母校の中学校に通い、家族役の人と一緒に住んで、朝起こされて、自転車ですごいキツい坂を登って、5時間くらい授業受けて、卓球部で部活動して、友人と遊んで帰宅してました」と、振り返えり「撮影前はここまでするんだ!」と思ったけれど「片倉ひかりになりきった状態から撮影出来たのでいい経験にになった」と心の内を明かした。
彼氏役とのデートのシーンでは監督に二人で行って来てと言われ「二人で奈良の森を歩いていたら、後ろに誰かいるなぁ~みたいな感じだった」と苦笑いすると、監督の河瀬は「それは見守るスタッフがいます。透明人間で」とリアルにこだわりそうしたのだという。
舞台挨拶の最後に監督の河瀬は「みなさんのもとでひとつの命が生まれる瞬間、こうして『朝が来る』を待ってくれていた人がたくさんいて幸せです。エンドクレジットの最後の最後の最後まで席を立たずにご覧ください。そこに私の、そしてみんなの込めた思いが表れます」と話し舞台挨拶を終えた。映画『朝が来る』は全国で公開中。
映画『朝が来る』
監督・脚本・撮影:河瀨直美
原作:辻村深月 『朝が来る』(文春文庫) 共同脚本:髙橋泉
出演:永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子
佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮
山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛
製作:キノフィルムズ・組画
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2020「朝が来る」Film Partners
公式サイト:http://asagakuru-movie.jp/
映画『朝が来る』2020年10月23日(金)より全国公開中