山﨑樹一郎監督の新作映画『やまぶき』が11月5日(土)より渋谷ユーロスペース、ほか全国順次公開となるが、本日新たに場面写真4点が解禁となった。また、公開に先駆けて鑑賞した著名人たちよりコメントも到着した。
かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山県真庭市に流れ着き、今はベトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と二人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。二人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始めるー
本作でチャンス役を演じるのは、イギリスで演劇を学び、今回初めての日本映画出演となる韓国人俳優のカン・ユンス。山吹役は、『サマーフィルムにのって』や「セイコグラム~転生したら戦時中の女学生だった件~」など話題作への出演が相次ぐ女優・祷キララ。その傍に、川瀬陽太、和田光沙、三浦誠己、松浦祐也、青木崇高らの実力派俳優たちが集結し、田舎町に暮らす人々のほとばしる生を体現。
いち早く作品を鑑賞した著名人たちからの熱いコメントが到着。山﨑監督との対談イベントを控えている小説家の高橋源一郎は「『やまぶき』は、滅ぼされようとするあらゆる『小さな』もののために、彼女の回りにある『小さな』ものたちのために、『顔』をこちらに向けるのである。」と、ヒロイン山吹が行うささやかな抵抗活動に触れ、『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督は「今だからこそ、この映画が存在することの意義は限りなく大きい。問いを抱え続ける山﨑樹一郎の歩みは力強く、本人にそんな気はなくても同じ時代に生きる者を勇気づけている。」と映画とともに監督を称えている。
『MINAMATA―ミナマタ―』での好演が記憶に新しい女優の美波は「決して甘くない人生なのだけど、なんでだろう、彼らの涙は優しくってとても温かい。」と評し、『ラーゲリより愛を込めて』の公開を控える瀬々敬久監督は「映画後半に至らんとするあるシーン、「変わりたい」「変えたい」というようなやり取りを見ていたら思わず顔がクシャクシャになってしまっていた。」と鑑賞後に感極まったことを明かした。さらに、第一回大島渚賞受賞者である小田香監督は「『やまぶき』は人間の尊厳について、声にならない声で抗い、生き続けることについて、教えてくれる。」とコメントし、山﨑監督と同じく地方に移住し映画を撮り続ける小森はるか監督は「人々に覆いかぶさる理不尽さや矛盾に、地方に見る日本という国を透かしながらも、それさえも素朴なままに描こうとしていると思える」とコメント。
他に、犬童一心、井口奈己、山村浩二、諏訪敦彦、深田晃司、空族(富田克也、相澤虎之助)、想田和弘、戸田ひかる、舩橋淳、佐藤零郎、向井康介、木下千花、月永理絵、土居伸彰、白央篤司、大寺眞輔、矢田部吉彦からのコメントが公式サイトで公開されている。映画『やまぶき』は11月5日(土)より渋谷ユーロスペース、11月12日(土)より大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館、ほか全国順次公開。
高橋源一郎(小説家)コメント
「大きい」ものが、ぼくたちを滅ぼしにやって来る。だから、「やまぶき」は、滅ぼされようとするあらゆる「小さな」もののために、彼女の回りにある「小さな」ものたちのために、「顔」をこちらに向けるのである。そのときには、もうプラカードも不要だ。なぜなら、「顔」は、「汝、人を殺すなかれ」と書かれたことばだからである。
濱口竜介(映画監督)コメント
タイトルを役名とする祷キララの立ち姿、その花のような可憐かつ無骨な存在感がひときわ胸に迫った。どうにも解きほぐせない現実を前にして、できることは極めて少ない。行動や言葉の実効性には大きな疑問符がつく。その極めてわずかな、現実を変えるには明らかに不足な何かを、人はそれでも尚すべきだろうか。答えはない。が、『やまぶき』は問いそのものを生きる。しんどい映画だ。それを見た者は当然、解決しがたい問いを植え付けられる。でも、その問いだけが安易な答えから人を守るだろう。今だからこそ、この映画が存在することの意義は限りなく大きい。問いを抱え続ける山﨑樹一郎の歩みは力強く、本人にそんな気はなくても同じ時代に生きる者を勇気づけている。
美波(女優/アーティスト)コメント
一人一人の命のカケラたち。両手でかき集めても、指の間からこぼれ落ちてしまう。決して甘くない人生なのだけど、なんでだろう、彼らの涙は優しくってとても温かい。
瀬々敬久(映画監督)コメント
映画後半に至らんとするあるシーン、「変わりたい」「変えたい」というようなやり取りを見ていたら思わず顔がクシャクシャになってしまっていた。その後の展開は、感動とか胸に迫ったとかでは片づけられない。こんな体験は初めてだった。岡山県の真庭から日本へ、世界へ、またも放り投げられた石ツブテ。山﨑樹一郎の映画を見続けて来て本当に良かった。
小田香(映画作家)コメント
『やまぶき』は人間の尊厳について、声にならない声で抗い、生き続けることについて、教えてくれる。「なんか叫びたいことないの?」という問いは静かに投げられるが、波紋は大きく広がっていく。山﨑樹一郎さんは映画という営みを信じている。闇の中で映画という営みを観る人間を信じている。
小森はるか(映像作家)コメント
どれだけ悲惨でも、奇跡でも、別に劇的じゃない。こんな目に遭ったのに、誰も見ていなくて、惨めさに泣けたり笑えたりする。この映画は、人々に覆いかぶさる理不尽さや矛盾に、地方に見る日本という国を透かしながらも、それさえも素朴なままに描こうとしていると思えるのです。
映画『やまぶき』
監督・脚本:山﨑樹一郎
出演:カン・ユンス、祷キララ、川瀬陽太、和田光沙、三浦誠己、青木崇高
黒住尚生、桜まゆみ、謝村梨帆、西山真来、千田知美、大倉英莉、松浦祐也
音楽:オリヴィエ・ドゥパリ
アニメーション:セバスチャン・ローデンバック
編集協力:ヤン・ドゥデ、秋元みのり
製作:真庭フィルムユニオン、Survivance
配給:boid/VOICE OF GHOST
© 2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE
11月5日(土)渋谷ユーロスペース、12日(土)大阪シネ・ヌーヴォほか全国順次公開!